みなさんこんにちは!
NY予備校の講師、竹川です。

今回はニューヨーク予備校春季ⅠAO入試対策の数学模試問題についてご紹介します。


春季ⅠAO入試が近づいてきました

慶應義塾ニューヨーク学院の春季ⅠAO入試の出願期限が近づき、
「そろそろ本格的に勉強を始めないと」と感じている人も多いと思います。

そこで今回は、NY予備校で実施している
数学の模擬試験の中から代表的な問題をピックアップして、
解き方と考え方をじっくり解説していきます。


目次

  • 問題①:倍数と個数の数え上げ(和集合の考え方)
  • 解説①
  • 問題②:くじ引きと確率(「少なくとも」の考え方)
  • 解説②

問題①

Which of the natural numbers from 1 to 50 is divisible by 2, 3, or 5?
1から50までの自然数の中で、2, 3, 5のいずれかで割り切れるものの個数を求めよ。

「いけそう」と思った人は、いったんここでスクロールを止めて、 紙と鉛筆を用意して自分で解いてみましょう。


解説①:重なりを整理して数える

今回のポイントは、 「2の倍数」「3の倍数」「5の倍数」が重なっている部分をどう扱うかという点です。

「2, 3, 5のどれかで割り切れる」 ということは、

  • 2の倍数
  • 3の倍数
  • 5の倍数

これら三つの集合の「和集合」の大きさを求める問題です。 そのため、足し算したあとに「重なっている部分」を引くという考え方(包除原理)を使います。

1. それぞれの倍数の個数

  • 2の倍数の個数 … 50 ÷ 2 = 25
  • 3の倍数の個数 … 50 ÷ 3 = 16 あまり 2 なので 16個
  • 5の倍数の個数 … 50 ÷ 5 = 10

ここまでで、いったん 25 + 16 + 10 と数えたくなりますが、このままだと「重なり」を二重に数えています。

2. 2つの倍数の重なり

次に、2つずつの組み合わせで「両方の倍数」を数えます。

  • 2と3の両方の倍数 → 6の倍数 50 ÷ 6 = 8 あまり 2 なので 8個
  • 2と5の両方の倍数 → 10の倍数 50 ÷ 10 = 5個
  • 3と5の両方の倍数 → 15の倍数 50 ÷ 15 = 3 あまり 5 なので 3個

ここまでで、 (2, 3, 5それぞれの倍数の合計) − (2つの倍数の重なり) という形になります。

つまり

(25 + 16 + 10) − (8 + 5 + 3)

3. 3つすべての倍数の重なり

ただし、これで終わりではありません。 2, 3, 5のすべての倍数になっている数があります。 それは 30の倍数 です。

30の倍数は 30, 60, … と続きますが、50までなので 30が1個だけ含まれます。

「3つすべての倍数」は、 2の倍数の個数を数えたとき、3の倍数の個数を数えたとき、5の倍数の個数を数えたとき、 それぞれに含めてしまっているため、

  • 一度目の合計で3回数えている
  • 2つの重なりを引いたときに、合計3回引いてしまっている

という理由から、最後に30の倍数を1回だけ足し戻す必要があります。

4. 計算をまとめると

(25 + 16 + 10) − (8 + 5 + 3) + 1 = 51 − 16 + 1 = 36

よって、答えは 36個 となります。

倍数の問題では、ただ数えるだけでなく、 「重なりをどう調整するか」を考えることがとても大事です。


問題②

箱の中にくじが12本入っていて、4本が当たりくじである。 この中から3本のくじを同時に取り出すとき、 少なくとも1本は当たりくじである確率を求めよ。


解説②:「少なくとも」と言われたら余事象

この問題のキーワードは、 「少なくとも1本は当たりくじ」 という表現です。

「少なくとも〇〇」と言われたら、 余事象を使うのが定石です。

少なくとも1本は当たりくじ ⇔ 1本も当たりくじが出ない場合を除いた残り

1. 全体の場合の数

くじは全部で12本あり、その中から3本を同時に選びます。 順番は関係ないので、組合せを使います。

全体のパターン数 = C(12, 3) = 12 × 11 × 10 ÷ (3 × 2 × 1) = 220

2. 1本も当たりが出ない場合の数

当たりくじは4本なので、残りの8本は外れくじです。 「1本も当たりを引かない」ということは、 8本の外れくじだけから3本を選ぶことと同じです。

外れだけを引くパターン数 = C(8, 3) = 8 × 7 × 6 ÷ (3 × 2 × 1) = 56

3. 確率を計算する

1本も当たりを引かない確率は、

56 ÷ 220 = 14 ÷ 55

したがって、「少なくとも1本当たる」確率は

1 − 14 ÷ 55 = (55 − 14) ÷ 55 = 41 ÷ 55

答えは 41 ÷ 55 となります。

場合分けで 「1本当たる」「2本当たる」「3本当たる」 とそれぞれ数える方法もありますが、計算が複雑になります。 「少なくとも」と書かれていたら、余事象で一気に片付けられないかを考えるクセをつけましょう。


おわりに:本番に強くなるために

どちらの問題も、計算自体はそこまで難しくありませんが、 「どう考え方を組み立てるか」が問われる良問です。

  • 倍数の問題 → 重なりを整理して、足し引きして数える
  • 確率の問題 → 「少なくとも」が出てきたら余事象を検討する

春季ⅠAO入試の数学では、 こうした「考え方の筋道」をきちんと持てているかが大きな差になります。 普段から、問題を解きっぱなしにせず、

  • なぜその式になるのか
  • 別の解き方はないか

といったことを意識しながら復習していきましょう。

NY予備校では、慶應義塾ニューヨーク学院の入試傾向に合わせた模擬試験や個別指導も行っています。 気になる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

いかがでしたか。

今回は慶應義塾ニューヨーク学院での春季ⅠAO入試対策の数学模試問題についてご紹介しました。

次回のブログもお楽しみに!

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